
70年代から80年代前半のヴェンダースは、
ヌーヴェルバーグ以降の映画の変容(あるいは混乱)を最も真摯に体現した映画作家でした。
『都会のアリス』や『さすらい』といったこの時期の作品で描かれたのは、
とりあえずの目的を持ちながらもそれを曖昧にしてやり過ごそうとするかのような、
主人公たちの逡巡と停滞感に満ちた鈍重な旅でした。
ヴェンダースは一般的な劇映画の「物語」に抵抗しながら、
そこから抜け落ちてしまう人々の息づかいを如何に映画にするかを一作毎に模索するような映画を撮り続けたのです。
ある意味青臭いともいえるこの時期の作品群は、
まさにこの時期にしか作れない青春期の瑞々しさがありました。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/2017/wenders2017.html