年金 際限のない削減
これで「人生100年」安心か
全国民共通の最低保障制度を
自公政権が「人生100年時代構想」を掲げていますが、肝心の高齢期に受け取る年金は減っています。
今年4月からは「年金カット法」(2016年成立)による新たな仕組みも施行されます。
1人暮らしの高齢者が増えるなか、減り続ける年金でいいのか、低年金や無年金の問題を放置していいのかが問われます。
2カ月に1回の年金受給日、15日を前にそれぞれの年金事情を見てみました。(武田恵子)
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40年働いても生活苦
共働きの夫婦2人合わせて
「夫婦合わせた年金で何とか生活を維持していますが、1人になったら到底生活できる年金ではありません」。こう話すのは、石川県白山市に住む橘建次さん(78)です。
年金が金融機関に振り込まれる日はいつも午後4時ごろに確認に行くと決めています。今月受け取るのは昨年12月分と今年1月分の年金です。夫婦合わせても月24万円ほどです。
「妻は44年間働き、保険料を払い続けてきました。私は41年働き、34年間掛け続けてきました。
妻の年金あっての生活ですが、もともとの賃金が男女差別で低く抑えられているので、妻の年金も抑えられています」
政府の統計によると、老齢厚生年金の女性の平均受給額は基礎年金を含めて月10万2000円にすぎません。
結婚・出産で退職した女性
結婚・出産で退職した女性の場合はどうでしょうか。
大阪市に住む廣上(ひろかみ)珠江さん(64)は結婚を機に23歳のときに退職しました。4人の子どもを育てました。
介護ヘルパーの資格をとったものの、働きに出る余裕がありませんでした。いま受け取っている年金は月3万3900円です。
老齢基礎年金を繰り上げて60歳から受給しました。本来の65歳から受け取ればもっと高くなりますが、老齢厚生年金がごくわずかだったことや、
60歳で定年退職した夫(71)の年金が月19万4000円程度(配偶者加給金3万2500円を含む)だったため、仕方なく受給を繰り上げました。
“年金がゼロ”
“年金がゼロ”という無年金者がいることも大きな問題です。
徳島市に住む笹山聡子さん(74)は夫(75)が無年金です。
印刷業を約40年、個人で営んできた夫は、事業の継続に精いっぱいで、国民年金の保険料を支払うことができませんでした。
独立していた息子(45)はとび職の収入が不安定なため、聡子さん夫婦と暮らすようになりました。
3人の生活を支えるのは聡子さんの年金です。保育士として40年働き、60歳で退職しました。年金は介護保険料を差し引かれて月19万6000円です。
削り続ける安倍政権
安倍内閣は、ここ5年間に年金を減らし続けてきました。過去の物価下落時のスライド停止分をまとめて削減(2・5%)、
物価と賃金の両方が上がっても年金額を抑制する「マクロ経済スライド」の初めての発動(0・9%)、物価・賃金の低迷を理由に減らすなどです。
安倍政権の年金削減はこれで終わりません。
16年の臨時国会で強行可決した「年金カット法」がこの4月から施行されます。
「マクロ経済スライド」の仕組みの強化です。物価や賃金が上がらなかった年の「抑制分」を翌年以降に繰り越し、
物価・賃金が上がる年度にまとめて年金を削減します。1月26日公表の18年度年金額改定では次年度以降の繰り越し分が示されています。
「年金カット法」のもう一つの柱は21年度に施行されます。物価と賃金の変動がどうなろうとも、賃金の下落に合わせて年金を削り続けます。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2018-02-14/2018021403_01_0.html